心の内側に癒しと安らぎを:マノマヤ・コーシャ
2015.10.20
ヨガでは『人間の身体』は「3つの性質」と「5つの鞘」から作られている、と考えています。
人は意識の集合体で構成されている、とヨガの中では考えており、その大きな器が『人間の身体』とする考え方なのです。その3つの「性質」をシャリラと呼び、5つの「鞘」をコーシャと呼びます。
今回はこの「5つの鞘:パンチャ・コーシャ」について、ひとつひとつお話をしていっています。
人の身体のもっとも芯になる部分と、その大きな意識の集合体を「真我:アートマ -Atma」と呼びます。この「真我:アートマ -Atma」を包み込むように、5つの層で構成されていると考えています。タマネギのように、何枚もの層になっているイメージです。その層それぞれを「鞘:コーシャ」と呼んでいます。
物質が粒の集まりで出来ていると考えたとき、一番外側にある目に見える物質を構成する粒は一番大きく粗い、岩の様な粒でできており、層が内側に向かうほど、細かい砂のような微細な粒で出来ていると考えています。
一番外側の粗い層は、目に見え、触ることのできる肉体を表しています。これが「食物鞘:アンナマヤ・コーシャ -Annamaya Kosha」。
そしてもうひとつ内側で、目にすることが出来ませんが、確かに存在を感じるものとしての、吸う息吐く息や、氣などのエネルギーを表しているのが「生気鞘:プラーナマヤ・コーシャ -Pranamaya Kosha」です。
この「生気鞘:プラーナマヤ・コーシャ -Pranamaya Kosha」のもうひとつ内側の鞘が、「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」です。
自分自身に深く関係し、コントロールできる場所
マノとは、思考や心、精神性などを意味しています。
人は様々な感情や、思考、感覚などをもって行動しています。身体を動かし、呼吸やエネルギーをコントロールしようと思ったとき、またもっと単純に、何かを食べたい、誰かと逢いたいと思ったときにも、そこには思考や感情などが結びついています。
こうして思考や意志が五感や肉体と結びつくことで初めて、行為や行動を起こすことができます。「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」は、すべてを動かすための原動力であり、多くを支配するものとして知られています。
ところがこうした意志力や思考には、プラスのエネルギーをもつものとマイナスのエネルギーをもつものがあります。そこには痛みや欲望、恐れ、疑いなどといった深く暗い、人を困惑させ、混乱させる感情も含まれているのです。
身体に受けた傷は一目で目にすることが出来、すぐに治そうとすることでしょう。ところが感情や意志、思考などに受けた傷は、目にすることが出来ないため、なかなか気づくことができません。
認識すること、安らぎと癒しを与えることが浄化につながっていく
この「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」は外側にあるエネルギーの鞘や肉体の鞘に多くの影響を与えるのです。
外からの刺激や出来事に反応して形を変えていく心や意志、そして感情をしっかりとコントロールし、振り回されない自分を持てるよう「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」を休めることが大切です。
「ヨガニドラ」や深い「シャバアサナ」はこの「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」に深い癒しと安らぎを与え、浄化してくれます。この2つが、感覚をしっかりとコントロールし(プラティヤハーラ)、身体に集中させていく(ダーラナ)の練習にも繋がるからです。
そして真実を話し心を開放する「サットサンガ」もまた、同じようにこの「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」を浄化してくれます。
ヨガスタジオのように、仕事や生活とは切り離された場所を持ち、真実や心の内側を話すことで、心の内側にあるこの「意志鞘:マノマヤ・コーシャ -Manomaya Kosha」を浄化していくことが、いかに健康や外側の身体、エネルギーにとって大切なことか、きっと実感できることでしょう。