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肉体は身体の一部にしかすぎない:アンナマヤ・コーシャ

肉体は身体の一部にしかすぎない:アンナマヤ・コーシャ

ヨガでは『人間の身体』は「3つの性質」と「5つの鞘」から作られている、と考えています。

人は意識の集合体で構成されている、とヨガの中では考えており、その大きな器が、『人間の身体』とする考え方なのです。その3つの「性質」をシャリラと呼び、5つの「鞘」をコーシャと呼びます。

人の身体の中に入っている、その意識の集合体に「真我:アートマ -Atma」という名を付けています。この「真我:アートマ -Atma」が「5つの鞘:パンチャ・コーシャ」に包まれていると考えているのです。

身体はアートマの入れ物

「真我:アートマ -Atma」の一番外側の「鞘:コーシャ」が「食物鞘:アンナマヤ・コーシャ -Annamaya Kosha」と呼ばれています。「アンナ」とは食べられる物、つまり食べ物のことを、そして「マヤ」とは沢山の、という意味があります。

つまり「アンナマヤ・コーシャ」とは、直訳すれば「たくさんの食べ物の鞘」という意味で、人の身体が、食べたもので出来上がっているのだ、ということを指しています。ヴェーダにおいては、生命はまず意識から誕生し、次に知性や感情、そして心が生み出され、末端である肉体は、最後に創りだされるものと考えられています。

この『人間の身体』は食べ物と、食べ物の持つエネルギーからできていると考えられています。5つの鞘の中でもっとも「重く」そして「粗い」鞘になります。

そのせいか、悟りを得るためやヨガの求める深い瞑想にとっては、なんだかあまり重要でないように思いがちです。ですが、「アンナマヤ・コーシャ」は、実はとても大切な部分でもあります。

この「アンナマヤ・コーシャ」が私たちを日本人であったり、さまざまな人種や、男女、人の違いを作っています。余談になりますが、アーユルヴェーダの性質である「ドーシャ」を多く含んでいるのもこの部分でもあります。

私たちが心身を浄化するためにアサナの練習をすることができるのも、この「アンナマヤ・コーシャ」があるからこそです。この「アンナマヤ・コーシャ」には、皮膚、骨、関節、筋肉、脂肪、内蔵、血液、リンパ液、などなど、医学的にいう「人の身体」全体が含まれています。

気づきやすく、大切な肉体を上手に利用していく

この鞘は、最も「人間」が気づきやすいものです。まず目に見えますし、触ることもできます。怪我をしたり、痛くなったりすれば、そこに「在る」ということを気づきやすいことにも納得でしょう。それはあたかもこの鞘そのものが「自分自身そのものである」と信じてしまいそうです。

でもそれは違っています。この「アンナマヤ・コーシャ」は人を構成するたったひとつのモノでしかありません。

それが証拠に、人が死を迎えると肉体は自然と分解していきます。そして広大な食物連鎖の中で、いろいろなものに吸収され巡り巡ることによって、いずれは再び食べ物になっていきます。つまりそれは「食べ物の鞘」だからです。

もし、肉体こそが「自分自身そのもの」だと思い込んでいるとき・・・そう、痩せなければとか、この痛みがなければ、ピアスやタトゥーなどで過剰に自分の身体を飾り立ててしまいたくなったときなど・・

自分自身の肉体にさまざまな自己存在価値の理由を見出してしまうときには、ヨガのアサナの練習をしてみましょう。

アサナをとることで「アンナマヤ・コーシャ」をより意識し、生命に溢れたしっかりとした純粋な食べ物を食べ、身体を浄化していくことは、自分自身のその身体が「5つの鞘」の一部でしかないことを思い出し、気づくことを助けてくれます。

そしてその先に、人の存在とは「真我:アートマ」であることを思い出させてくれる、きっかけがあるのです。

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