アライメントを整える意味と意義:瞑想への入口の身体
2016.03.03
ヨガを長くやっていると、アサナの名前を言われただけで、そのポーズを取ることができるようになってきます。
インストラクターにいわれる言葉を聞きながら、このポーズは骨盤が前、このポーズは膝を伸ばして・・・など、身体の配置にも意識が行くようになるかもしれません。
そんな中で、このポーズは好き、少し苦手・・といったことも出てくることでしょう。
クラスの中でインストラクターが声をかけている、手や足の位置、目線、体重やエネルギーのかけ方など、身体の配置のルールを「アライメント」といいます。
変えられる筋肉、変わらない骨
人は、多くの骨が関節や靭帯、筋肉によってつなげられることで、ひとりの人間、身体として形成されています。
その筋肉の使い方は、人によって様々です。毎日重たい荷物を上げ下ろしする人もいるでしょうし、はたまた机の前で何時間もじっと筋肉を動かさずにいる人もいることでしょう。
こうして筋肉のつき方は変化していきます。ときにはその筋肉が、成長過程の中で骨を引っ張ったり歪めたりすることもあるかもしれません。
実は筋肉は、毎日ヨガをすることやトレーニングすることで、死を迎えるそのときまで、変化させることができることが最近わかってきました。
筋肉はいくつからでも年齢に関係なく、ゆるめて柔らかくしたり、逆に鍛えたりすることができるのです。
では骨格はどうでしょう。
実は、一度形成された骨は、一生変わらないといわれています。
この骨の造りは、生活習慣や様々なものによって変化し、大人になるころには、すっかりひとりひとり本当に違う形となります。遺伝子の繋がる兄弟姉妹だったとしても、誰ひとりとして同じ骨格を持つ人はこの世に存在しません。
質の良いアサナから導かれる深い瞑想
こうしたひとりひとりの違いを理解しないままアサナを行うことは、ヨガのアサナの質(エネルギー)を下げ、身体を傷めることにも繋がってしまします。
ときには隣の人や、インストラクターと比べ、どんなに練習してみても上手くいかない「苦手なアサナ」もあるかもしれません。でもそれは骨格の違いからくるものかも知れないのです。
ヨガは自分と向き合うツール、といわれています。それはヨガをすることで、自分の持つ骨格や筋肉の組成を認めていき、その内側にある感情や感覚に気づき、そして全ての面における『純粋な自分』を認めていく作業だからなのです。
人が本来持つ形に身体を整えることで、心を整え、そしてその中にある自分を認めていく。アサナとプラナヤマを整えることで、その内側の心を調える「プラティヤハラ」を学んでいくこと。
これが本来、ヨガのアライメントに求められている役割なのです。いつか心と身体の関わりがしっかりとつながったときに、集中が深まり、深い瞑想へと導かれていくために。