宗教?フィットネス?ヨガの生まれ持った本当の姿。
2015.10.05
もしかしたら、日本に住んでいる人のほとんどが、漠然とにしろ『ヨガ』という存在を知っていそうな今日この頃。
では、本当のところしみじみと、『ヨガ』ってなんなの? という話。宗教でしょうか? それとも、哲学やフィットネスなのでしょうか?
生まれたときのヨガの姿とは?:ヨガの起源
ヨガという言葉自体は、はサンスクリット語の「ユジュ:牛や馬と車をつなぐ軛」が語源。古代インドが発祥の伝統的な心と身体の修行法として、紀元前4000年~2000年頃、インダス文明で生まれたといわれています。
心身を鍛錬によって制御し、精神を統一していくことで、古代インドの人にとって、人生の目標でもある輪廻転生の輪から外れること・・・すなわち「解脱:モークシャ」、いわゆる悟りに至ろうとするために考え出されました。
『ヨガ』という言葉が見られるもっとも古い文献は、紀元前800年~紀元前500年に書かれた『タイッティリーヤ・ウパニシャッド』。ウパニシャッドとは、サンスクリットで書かれた大きな一連の書物。
そして、ヨガの説明としてもっとも古いものは、紀元前350年~紀元前300年頃の『カタ・ウパニシャッド』。ここでははっきりと「感覚の確かな制御がヨガである」という説明がなされています。
その後、西暦200年頃には多くの書物がまとめられ、ひとつの形となった『ヨガスートラ』が編纂され、細かく具体的に、ヨガの実践方法が記されるように。
ヨガとは日常を離れ、心の動きと向き合ってみること。
今の多くのヨガ講師が、この『ヨガスートラ』を勉強したことがあると思います。ここでも「ヨガとは心の動きを抑止すること」と定義され、心の動きをコントロールするさまざまな鍛練により、苦しみから解放されることをその目的としています。
今のヨガとはなんだか違うと思いませんか? そう、実は今日本に入ってきているヨガの多くが、北米などで流行したフィットネス的なヨガ。
では本来のヨガ宗教的なのかと聞かれると、それもまた少し疑問があります。確かにヨガは、様々なインドの諸宗教と深く結びついて生まれました。しかし、その宗教を見ていると、種々様々。
バラモン教、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教・・・さまざまな宗教の修行法として紹介されていて、どこかひとつの宗教に属しているものではないのです。
なんと現代では、インドのカトリック教会でもヨガが取り入れらており、さまざまなヨガの寺院の祭壇には、イエスキリストやマリア像が、インドの神々であるシヴァやクリシュナと一緒に並んでいるくらいなのです。
日本では不幸な事件から、ヨガ=宗教のイメージを持っている多くの方がいます。そして恐れている方さえいると思います。そのイメージを払拭し、明るいイメージを作るために、北米から来たフィットネス要素の強いヨガの姿が、先に広まりました。
でもどうでしょうか。そろそろ本当の、宗教でも哲学でも、そしてフィットネスでもない、ヨガの本当の姿を見てみませんか。そこにはまさに、心と身体に作用するヨガ本来の効果が溢れていますよ。