日常の中の幸せを探すヒント・マインドフルネス
2015.07.27
ヨガの簡易版・日常版として紹介している「マインドフルネス」。さまざまな手法がありますが、具体的な方法のひとつは瞑想です。
「マインドフルネス」で行われている瞑想のルーツも、ヨガと同じ仏教やヒンズー教。輪廻転生を信じているこの宗教では「解脱:輪廻転生を断ち切ること」を求め、生まれ変わりの苦しみから離れることを求めて瞑想が始まりました。同じ苦しみでも、私たちは日常の苦しみから離れることを求めて瞑想するわけですね。
瞑想というとなんだかうさんくさく感じたり、はたまた座禅のごとく「蓮華座」で何時間も過ごすイメージがあるかもしれません。でも実は、瞑想は難しいものでも時間がかかるものでもなく、日常の中で簡単に取り組むことができるものです。ヨガのゴールのひとつは瞑想といわれていますが、「マインドフルネス」でも同じように瞑想をとても大切にしています。
瞑想を学ぶために、こうした仏教やヒンズー教に改宗したり、特定の宗教を信じる必要はありません。実は宗教と深い瞑想はまったく関係がないのです。心理学や脳科学から考える瞑想は、スピリチュアルなものではなく、集中力と脳波に関するもの。心や脳波を穏やかにし、「いま」に気持ちを集中させる能力といえるかもしれません。もちろん神に祈りを捧げる行為を否定するものではありません。でもなにかに頼ることなく、瞑想で心の平穏を得ることができるのなら、素晴らしいことだと思いませんか。
どこでもできるヨガのミニマムなポイントの姿
瞑想は場所も時間も選びません。例えば神社や仏閣に行かないと出来ないものではありません。音楽やお香などのアイテムも必要がありませんし、清々しい朝日の中や、暗い月夜でないと出来ないわけではありません。もちろん気持ちの良い澄んだ空気の場所や、心地よい甘い香りがする中での瞑想はとても気持ちの良いものですが、それらは必需品ではないわけです。
瞑想にするときに必要なのは、まず「自分」と「瞑想をしようという気持ち」のふたつだけ。ですから通勤電車の中でもランチの後でも、お風呂の中でもすることが出来ます。雑音が多いかどうか、周りに音があるかないかは、あまり瞑想には関係がないのです。自分の気持ちに集中することができれば、あとはどのような場所や状況でも構わないのです。
瞑想の始めの一歩は簡単。いったん自分がしていることをすべてやめ、軽く背筋を伸ばし、自分の呼吸に意識を向けること。最初は呼吸を追いかけてみます。「吸っている/吐いている」・・・ただこれだけです。30秒でも1分でももっと長くても構いません。たったこれだけですから、仕事中のちょっとした休憩時間や、エレベーターに乗っている間でも瞑想をすることができます。ただひたすら呼吸に意識を向ける。こんな簡単なことが瞑想の第一歩です。
仕事中にも簡単にできることが「マインドフルネス」の大きなポイントでもあります。もし今、目の前にある仕事や人間関係になにか苦痛の渦の中に在るのをを感じているなら、「マインドフルネス」の練習のチャンス。一度手を止めて、呼吸に意識を向けてみます。
自分を一度リセットして渦から離れてみる
これは放置することとは違います。一度自分を「こうしよう」とする未来志向から離して、「いまここ」この瞬間に意識を戻そうとするのです。自分が渦の中に取り込まれてグルグル回ってしまっていては、渦の中心は見えません。渦と一緒に回っていては目が回るばかりです。そこでいったん渦から出て、客観的に「渦」そのものを観る準備をしてみようというわけです。
「マインドフルネス」のヒントは、本当にごく小さなもの。それを実践するかしないか、たったそれだけのことです。こんな些細なことが・・・と思うかもしれませんが、練習を積み重ねていくことが大切です。慌てて静かな神殿を探しに行く必要も、お香を準備する必要もありません。その場所で大丈夫。少し背筋を伸ばして、自分の呼吸に意識を向けてみます。
ほんの少しの時間でも構いません。息を吸って、息を吐いて・・・一度渦から離れましょう。そして不安や焦りは自分の頭のなかで作ったものであり、現実ではないことを確認するのです。