いまここわたしに気づく。気づきの機会をあげるマインドフルネス
2015.07.20
最近の趣味は『江戸』。現代日本のベースになった幸せな時代が江戸。現在、時間を創っては「江戸33観音」を巡礼中。
NHKや多くのメディアでも特集が組まれるほど注目されている「マインドフルネス」。アップル創設者のスティーブ・ジョブズが、このマインドフルネスの実践者として挙げられることも、多くの人の興味を引く原因かもしれません。
マインドフルネスは瞑想の一種。自分の身体や心の状態に気づく力を育てる、メンタルトレーニングのひとつでもあります。世界的に注目を集めるきっかけとなったのはグーグル社が始めたマインドフルネスを教える社内研修。その後ゴールドマン・サックスやP&G、ゼネラル・ミルズなど、アメリカの大企業が続々とこのメンタルトレーニングに取り組み始めました。
マインドフルネスの効果とヨガとのつながり
「マインドフルネス」を練習していくと、否定的な感情や物事にとらわれることが少なくなり、身の回りに起こる小さな肯定的なヒントに気づけるようになっていきます。周囲の感情や出来事に飲み込まれることも少なくなるため、どんな時でも自分を取り戻すことができるようになります。マインドフルネスで得られるのは、しなやかで豊かな自分。なんだかヨガに似ていませんか?
それもそのはず、マインドフルネスはヨガと同じ仏教がスタート地点。ヨガをもっとも圧縮、エッセンスだけを取り出し、アサナ(ヨガのポーズ)を使わずに、日常の中で繰り返し練習できるようにした状態・・・といえるかもしれません。
マインドフルネスではその実践に、理論や効果のデータがしっかり取られているのも特徴的。医学的、心理学的な研究も重ねられ、ヨガを大本にしたこの手法に、実質的な効果があることが認められています。
2014年には雑誌『タイム』の表紙に「マインドフル革命:The Mindful Revolution」の文字が躍り、「マインドフルネス」という言葉が広く知られるようになりました。その後はベストセラーの本が出るなど、次々と関連書籍が出版されてきています。
日本で生きる人にこそ必要なマインドフルな生き方
そして日本でも、精神科医や臨床心理士などが集まってマインドフルネスの学会が開かれました。日本は他の国に類を見ないほど、心の病を抱えた人の多い国といわれています。不安障害や気分障害、依存症など様々ですが、うつ病も含め、こうした多くの病気の治療に生かせないかと期待が集まっているのです。
では「マインドフルネス」とは、どのような状態を指すのでしょう?
マインドフルネスとは「特別な形で注意を払っていること。意図的に『今の瞬間』に、評価や判断とは無縁に注意を払うこと」といわれています。つまり「今していること/感じていること」をハッキリと理解している状態のことなのです。
マインドフルネスの中では、心や思考の中にやってくる評価や判断にとらわれないことが大切。「いま、ここ」自分が味わっている感情や思い、やっている行動に注意を向け、それがネガティブであろうとポジティブであろうと、客観的にとらえ味わってみるのです。
人はついつい、ポジティブな感情や出来事を良いものとし、ネガティブな事柄を悪として受け取っています。意外と純粋に「判断や評価なしに」感じる、といわれると・・・どうでしょう。なにかにつけ、「それが正しいのか/上手くいくのか、他人から見てどうか」などのさまざまな判断や評価を、いつの間にかしていませんか? マインドフルネスでは、どちらも「感情」として端的にとらえて、少し客観的に感じてみるのです。
マインドフルネスを日本語にすると「心を入れて/感覚を研ぎ澄ませて」という感じ。日本人は季節の移り変わりや、ちょっとした出来事に感覚を研ぎ澄ませて、それを楽しんできた国民性でもあります。いつもはジャッジに向けている意識の方向性を、ほんの少し変えるだけで、「マインドフルネス」が手に入れられるのかもしれませんね。